子どもの肌みたいにすべすべで、白くて、触るとフニフニしている。ズボンの上にちょんまりと乗っかっている、やわらかいお餅。においはないけど、たまに、甘い香りがする。
上記、30代男性の腹のお肉についてである。ちなみにおへそもめちゃくちゃきれい。「助産師さん、凄腕だったのかな」って話を何度もしているくらいだ。
ちなみに、私のおなかはこんなに素敵ではない。なんか固いし、白くもないし、パンツのゴムの上にドテッと居座っている。忌々しいことこのうえない。
彼と初めて会ったときから、たいして体形は変わっていないと思う。ちょっと痩せたかもしれないけど、きっとおなかは同じくらいフニフニで、ズボンに2センチくらい、乗っかっていたはずだ。
そのときは全然、彼のおなかなんて好きじゃなかった。
やさしいから付き合ったのだ。失礼ながら、「もうちょっと痩せてシュッとしてくれたらいいのになー」なんて思っていた。
いつからだろう、そんなことを思わなくなった。彼のおなかは、かわいい。その脂肪を大事に守ってほしい。触れてよいのは彼本人と私だけの貴重物質。
さすったり、つまんだり。服の上からのこともあれば、シャツに手を突っ込んで素肌を触ることもある。スマホを触っていると足元に寄ってきておなかに顔をよせ、ひたすらにおなかを撫でまわす彼女。黙って触らせる彼氏。
意味不明。でも、「きっと、ほかのカップルもこんなもんだよね?」と言い聞かせながら、今日も奇行に走る。
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